worlds of last generationシリーズ 第一部
そうか。
だから止まったんだ。
漸く彼の行動に納得して、もう一度顔を上げる。
相変わらず、笑顔で此方を見ている静夜を見つめながら言う。

「ここまで運んでくれてありがとう、疲れたでしょ?」
そう言い終わると、少しの間驚いた顔をしていたが、またすぐに笑った。

「全然、まだまだ走れるね。もちろん…“ゆぅちゃんを抱えて”ね」
ふざけた風な言葉を紡いで、私の頭を撫でる。
「もう…ふざけないでよ。私本気で言ってるんだから」
「ふざけてないんだけどな…」
私が少し膨れながら言うと、彼は苦笑しながらそう返した。

今のがふざけてないなら何なんだろう?
そう思ったが、またぼーっとしたら困るので考えないようにする。

まぁ、そんな事は置いといて――

「本当にありがとね、静夜。それだけ言いたかったの。引き止めてごめんね」
もう一度笑顔で言うと、彼も笑いながら頷き歩いていった。

そうして私達はそれぞれの更衣室に入る。

が…――
『痛っ!!』
扉を開けた瞬間に、そんな声重複して聞こえてくる。
室内を見れば、体育着に着替終わった彩葉と美夜那が、側頭部を押さえていた。

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