worlds of last generationシリーズ 第一部

interlude/ある青年の嘆き

interlude

友人達と楽しく過ごす少女を…遠くから眺めていた。
よく変わる表情が印象的で、見ていて飽きない。

まるで彼女の様だ…――

そう思っては胸を痛めた。

忘れる事の出来ない過去の傷が、少しずつ疼いていく。
まるで傷口から膿が出る様な感覚に不快感を覚え、僕は顔を歪める。

忘れたくても忘れられない。
あの日の事。
何度も夢を見た。
この手をすり抜ける君と、赤い景色。

君の声も笑顔も
温もり
優しさ
儚さ
悲しみや怒りも全て――
この胸に残っている。

哀しみに打ち菱がれていた。
君のいない世界が、これ程色褪せて見えるなんて思いもせずに――
無駄に過ごしていた日々を悔やんだ。

そんな時に見付けたのがカノジョだった。
君に良く似た少女であり、僕の“キョウダイ”とも言える存在。
それを救いたいと思った。

…ただの偽善かもしれない。
これは慈しみではなく、同情だと言われても…
不平等だと罵られても構わない。

僕はもう、誰かを失いたくなかった。
ただ大切な人達と、過ごせればそれでいい――

< 63 / 84 >

この作品をシェア

pagetop