worlds of last generationシリーズ 第一部
きっとカノジョも同じ気持ちのはず。
だからカノジョに明かしたんだ。
後悔なんてして欲しくなかったから。

絶望的でもマエが見えなくても、ただ走り続けて欲しいんだ。
“運命は変えられる”と。

君もあの時同じ気持ちだったんだろう?
ねぇ…応えてよ――

“ユア”

「こんな所に居たの?」
不意に僕の背後から聞こえた、酷く冷たく感情の篭らない声。
「あぁ…この時間はここが一番落ち着くんだ」
振り返らずにそう返すと、背後に佇む気配が揺らいだ。

「……“ユア”はイナイよ」
ふわりと小さく吹いた風が、僕を包む。
それと同時に、強く強く抱き締められた。

「分かってるよ。それでも、放ってはおけないんだ」
強めの包容に少し息苦しかったが、それでも自分の本心を悟られないように笑ってみる。
けれど、この“二人”には通用しないだろう。
分かっていてもやってしまう、昔からの癖なのだ。
それを知っているのか…この癖が出た後は絶対に干渉してこない。

そんな僕等の曖昧な距離感が、酷く安心できて…だけどもやはり何処か寂しい。
ただ悲しみを共有し合うだけの僕等は、それでも続けていくのだろう。

“ままごと”を。

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