worlds of last generationシリーズ 第一部
「行こう?シジュウが呼んでる」
二人は同時に立つと、僕を見下ろす。
「あぁ、分かっているよ」
それだけ言って、僕も立ち上がる。

少し干渉に浸りすぎたかな…。
そう思いながら小さく溜め息を吐いて、胸に残るわだかまりを取り払うように空を仰いだ。

見上げれば美しい空が広がって、風は温かにそよいでいく。
一見すれば、とても喉かで幸せな風景なのだろう。
しかしそれは、僕にとって偽りでしかなくて――

もう一度前を向く。
まだ友人達と話しているカノジョを見つめた。
彼女に似ているのに、異なる存在。

不思議と目で追ってしまう、何ともあぶなっかしい存在だった。
それでも精一杯生きて、今笑っている。

ねぇ由亜。
君は今…――

<シアワセですか?>

声を出さずに呟いた。
君には届かないと知っているから。

「サク?」
僕の名前を呼ぶ二人に、少しだけ名残惜しいけど…視界を反転させる。
「分かってるよ…行こうか」

そうして僕はまた、素顔を隠して世界に潜る。
君が怖がらないように、僕が崩れてしまわぬように。

僕の名前を…君が呼ばない様に――

interlude out

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