worlds of last generationシリーズ 第一部
少しずつ広がっていく、胸の痛みを抑えながら歩いてく。
同じ様な風景の中を、ただ真っ直ぐに。

振り返る事も、立ち止まる事もしないまま。
ただひたすら歩き続けた。

“此処に長くいてはいけない”

脳内から発せられる言葉が、私の中で何度も反芻される。
その度に歩く速度を上げた。

何度も何度も脳裏に過る言葉に、私は焦り始めているのだ。
言い知れぬ恐怖と、喪失感。
この変わり映えのしない、寂れた景色を見ていると頭痛がする。

―見ては駄目――

誰かの声が聞こえる。
頭痛は増して、恐怖は消えずに…
そうして気付けば走り出していた。

―そう…早く、早く、此処を抜けて――

また誰かの声がした。
この森中に響きわたる、そんな声で語り掛けてくる。
視界のはっきりしない世界を、全力で走っていく。
転んだら危ないとか、道を間違えてたらとか、そんな事どうでも良い。
ただこの森から抜け出したかった。

―そう…それで良いの… だってアナタにはまだ――
【ハ ヤ イ カ ラ】

光が見えた時、そんな声が聞こえてきた。
気になって後ろを振り向こうとしたら、背中を押され…
同時に光が私を包み込む。

走り抜けてきた森へ振り返る。
それでも光が眩しすぎて、目を開けていられない。
辛うじて見えたのは、影絵の様な森の風景と…見覚えのある人影だった。

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