桃色の1ページ
樹(イツキ)…………。
あたしは、あんたを忘れたことなんかなかったよ。
大切な幼なじみで。
大好きな人だったんだもん。
恋なんだって気付いたのは、中1の時。
桜の木の下で雨宿りした次の日。
* * *
「ごめん」
何度も謝る樹。
「だから、樹のせいじゃないってば」
「いや、でも」
「あたしが弱ってただけだから。
ね?」
雨に濡れたせいか、あたしは風邪をひいちゃったんだ。
心配して家まで来てくれた樹は、さっきから謝りっぱなし。
別に、気にしなくていいのに。
あたしの風邪、自分のせいだと思ってるんだから。
まったく。
.