モノクロ

30分くらい車を走らせ、あたしの家であるマンションの前に着いた。


九条さんは車を止めると、降りようとするあたしの腕をつかんだ。



ドキッ
もしかしてまたキス?


「松本さん…携帯教えて?」


ホッ
ちょっと安心した自分がいた。


一日に2回もキスなんて、今のあたしには、まだ刺激が強すぎる。




九条さんは番号を交換すると、あっさりと腕を離した。


「…電話するから。」

「はい!…おやすみなさい。」

「おやすみ。」


あたしはドアを開けて外に出て、九条さんを見送った。






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