モノクロ
あの日から、決まって22時頃に毎日九条さんから電話がくる。
内容は他愛もないことだったけど、あたし達は少しずつお互いのことを知っていった。
下の名前が遥斗(ハルト)ということ…
誕生日や血液型や、好きな食べ物…
いろんなことを教えてくれた。
九条さんは、医療系の専門学生で将来は、理学療法士になるんだって。
今まで知らなかった九条さんのことを知る度、嬉しかった。
そして九条さんは付き合い始めてから、いつからかあたしのことを「涼子」と呼ぶようになった。
あたしはまだ「九条さん」のままだけどね。
あたし…今人生で一番幸せかもしれない。
ママが夜勤でいない時、九条さんからの電話はすごく心強かったんだ。
離れてるけど、すぐ隣にいるような安心感がある。