モノクロ

雪が降り始めた中、あたしたちは神社に着いた。

お昼過ぎに来たのに、参拝者の長い列が出来ていて、お参りまでだいぶかかりそうだ。



「寒くない?」

列に並ぶと、九条さんが心配そうに顔を覗き込んできた。


「大丈夫です。」

あたしは笑顔で言った。



「…ったく、嘘ばっか。」

そう言うと九条さんはあたしの手をとって、ジャケットのポケットに入れた。



「こんなに冷えてるじゃん。」


あたしが顔を見つめると、九条さんは優しいほほ笑んだ。

もう…九条さんのバカ!
すごく恥ずかしいよう~。





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