青碧の魔術師(黄昏の神々)
「そんなに可笑しいか?」
固い声を崩さぬシュリに、イシスは首を左右に振る。
「そうではありません。お二人共、仲がよろしくて、微笑ましく思っておりましたの」
「は? イシス……熱でも有るのか?」
大真面目にイシスへと右手を上げるシュリに、漣の声が重なる。
「イシスちゃんの方が、良く分かってるじゃない。いーなー。やっぱり女の子は……女の子、欲しい……」
好き勝手言う漣は、言葉の勢いのまま、イシスの額に置こうとしていた、シュリの手を押しのけ、ガシッと彼女の両手を掴む。
「イシスちゃん! おぢさんの義娘(むすめ)になんない? 決して不幸にはさせないから!」
「おいっ!! このくそ親父! イシスをたぶらかすんじゃ無い!!」
漣の態度と台詞に、ギョッとしたシュリは、思わず身を乗り出して、荒げた声を上げる。
その瞬間、シュリの身に僅かだが、隙が生まれた。
漣が父親である事実と、彼の緊張感の無さが、拍車を掛けたと言っても、過言では無かった。
身を乗り出したシュリのフードの中に、漣の手が滑り込む。
瞬時の出来事。
『パシッ』と言う、空気を震わす高音と、小さな閃光。
それがシュリの回りで起こり、彼は、漣の腕に崩折れた。
シュリは、閃光の直後、意識を手放してしまっていたのだ。
「シュリさま!!」
驚くイシスの声。
「おじさま! どうして」
驚愕と驚き。
戸惑いと不安。
その中で、イシスはわななく唇を押さえ、漣をじっと見つめる。
漣は、気を失ったシュリをそっと椅子に腰掛けさせると、改めて回りを見渡した。
「さすがに私も息子が可愛い。シュリには聞かせたく無い事を、これから皆さんと話したい。特にイシス姫、貴女と……」
「だからシュリには眠って貰った」と、漣は今まで、誰にも見せた事の無い、真面目な顔と声でそう言い放った。
固い声を崩さぬシュリに、イシスは首を左右に振る。
「そうではありません。お二人共、仲がよろしくて、微笑ましく思っておりましたの」
「は? イシス……熱でも有るのか?」
大真面目にイシスへと右手を上げるシュリに、漣の声が重なる。
「イシスちゃんの方が、良く分かってるじゃない。いーなー。やっぱり女の子は……女の子、欲しい……」
好き勝手言う漣は、言葉の勢いのまま、イシスの額に置こうとしていた、シュリの手を押しのけ、ガシッと彼女の両手を掴む。
「イシスちゃん! おぢさんの義娘(むすめ)になんない? 決して不幸にはさせないから!」
「おいっ!! このくそ親父! イシスをたぶらかすんじゃ無い!!」
漣の態度と台詞に、ギョッとしたシュリは、思わず身を乗り出して、荒げた声を上げる。
その瞬間、シュリの身に僅かだが、隙が生まれた。
漣が父親である事実と、彼の緊張感の無さが、拍車を掛けたと言っても、過言では無かった。
身を乗り出したシュリのフードの中に、漣の手が滑り込む。
瞬時の出来事。
『パシッ』と言う、空気を震わす高音と、小さな閃光。
それがシュリの回りで起こり、彼は、漣の腕に崩折れた。
シュリは、閃光の直後、意識を手放してしまっていたのだ。
「シュリさま!!」
驚くイシスの声。
「おじさま! どうして」
驚愕と驚き。
戸惑いと不安。
その中で、イシスはわななく唇を押さえ、漣をじっと見つめる。
漣は、気を失ったシュリをそっと椅子に腰掛けさせると、改めて回りを見渡した。
「さすがに私も息子が可愛い。シュリには聞かせたく無い事を、これから皆さんと話したい。特にイシス姫、貴女と……」
「だからシュリには眠って貰った」と、漣は今まで、誰にも見せた事の無い、真面目な顔と声でそう言い放った。