青碧の魔術師(黄昏の神々)
「大丈夫だよ、イシスちゃん。シュリは、君を疎んじたりしない。己を嫌悪していても、君の事は大切に思っているから」
漣の言う事に、元々根拠は無い。
だが、何故か不思議と、その言葉には説得力があった。
「私で、お役に立てるのでしたら……」
「大丈夫、大丈夫」
漣に説得させられた形で、承諾の言葉を紡ぐイシスと、これまた対称的に響く、漣の安易な言葉。
それに、難色を示した人物がいた。
当たり前と言えば、当たり前か。
言わずと知れたシスコン兄貴、エステル、その人である。
「イシス、お前、本気で信じてるのか? そいつの戯れ言を……」
「はい、お兄様。この方は、本気でおっしられています。目を見ていれば判りますわ」
「だが、イシス。お兄ちゃんはとても、心配だよ……」
やたらと、『とても』を強調するエステルに、イシスは、難い決意で臨む。
安易な気持ちでは、この兄を納得させる事は出来ない。
彼女は、その事を良く知っていた。
「お兄様。私、本当にシュリさまに愛されているのだとしたら、あの方の運命と、共にありたいと思います。側にいて、少しで良いのです、安らぎになりたい……」
両手を胸の所で組み、真剣な眼差しと声で話す。
その行いが、彼女のせつない思いを、その場にいる全ての者に伝染させた。
それ程までに、真剣なイシスの思い。
「兄様……。私、後悔したくはありません。セレナさんの様に……。私は、あの方と共に生きる事を望み、決断します」
彼女の決断。
揺らぐ事の無いその思いを、エステルは、無下に扱う事など、出来無かった。
「イシス……。お前、本気なんだね。永く生きると言う事は、お前の大切な人達が、次々とお前を置いて去って行くと言う事なのだよ。それが分かっていての、発言なんだね?」
「はい。覚悟は出来ています」
「永遠の命を持つお前を捕らえ、辛い目に合わせる輩も、現れるかも知れないよ」
「はい。承知の上です。その時は、シュリさまに上手な逃げ方を、教えていただきます」
イシスが、にっこりと笑う。
エステルはそれを見て、深い息を付いた。
漣の言う事に、元々根拠は無い。
だが、何故か不思議と、その言葉には説得力があった。
「私で、お役に立てるのでしたら……」
「大丈夫、大丈夫」
漣に説得させられた形で、承諾の言葉を紡ぐイシスと、これまた対称的に響く、漣の安易な言葉。
それに、難色を示した人物がいた。
当たり前と言えば、当たり前か。
言わずと知れたシスコン兄貴、エステル、その人である。
「イシス、お前、本気で信じてるのか? そいつの戯れ言を……」
「はい、お兄様。この方は、本気でおっしられています。目を見ていれば判りますわ」
「だが、イシス。お兄ちゃんはとても、心配だよ……」
やたらと、『とても』を強調するエステルに、イシスは、難い決意で臨む。
安易な気持ちでは、この兄を納得させる事は出来ない。
彼女は、その事を良く知っていた。
「お兄様。私、本当にシュリさまに愛されているのだとしたら、あの方の運命と、共にありたいと思います。側にいて、少しで良いのです、安らぎになりたい……」
両手を胸の所で組み、真剣な眼差しと声で話す。
その行いが、彼女のせつない思いを、その場にいる全ての者に伝染させた。
それ程までに、真剣なイシスの思い。
「兄様……。私、後悔したくはありません。セレナさんの様に……。私は、あの方と共に生きる事を望み、決断します」
彼女の決断。
揺らぐ事の無いその思いを、エステルは、無下に扱う事など、出来無かった。
「イシス……。お前、本気なんだね。永く生きると言う事は、お前の大切な人達が、次々とお前を置いて去って行くと言う事なのだよ。それが分かっていての、発言なんだね?」
「はい。覚悟は出来ています」
「永遠の命を持つお前を捕らえ、辛い目に合わせる輩も、現れるかも知れないよ」
「はい。承知の上です。その時は、シュリさまに上手な逃げ方を、教えていただきます」
イシスが、にっこりと笑う。
エステルはそれを見て、深い息を付いた。