青碧の魔術師(黄昏の神々)
それ迄が、イシスの語った話だった。




腕と脚を組み、目を閉じて、イシスの話を聴いていたシュリは、ゆっくりと瞼を開き、その青碧の瞳をイシスに向けた。

イシスの胸がドキンと高鳴る。

胸がざわついて、血が熱くなって行くのが、手を取る様に解る。


『私は、一体どうなってしまったの……?』


シュリが青銀の髪をかき上げる仕種に、懐かしい様な甘い思いが、心の奥底から沸き上がって来て、その上、ドキドキが激しくなり過ぎて、シュリの耳に届くのでは無いか、不安になる。

イシスが、顔を赤くして俯くと、今度はキョトンとしたロイと、目があった。


「どしたー? イシス? 顔真っ赤で心臓バクバクいっ……!!」

「きゃあぁぁぁー」


イシスが、悲鳴に似た驚きの声を上げて、思わずロイをギュウギュウに締め上げる。


『こんな私、シュリ様に知られたく無いです!』


恥ずかしさも手伝って、益々顔を赤くするイシスと、首を羽交い締めにされて、顔色をどす黒く変色させるロイ。

赤くなる理由はそれぞれ違う。

だが、端から見る光景は面白い。

シュリは、笑いを堪え切れず、くくっと声を漏らした。


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