青碧の魔術師(黄昏の神々)
イシスの顔が益々赤くなり、締め上げる力が増すしていく。


『あうぅぅぅ……笑われていますっ……私!』


「失礼」


シュリの笑いがピタリと止まる。

次の瞬間、彼から不思議な程、表情がはげ落ちた。

そのままの顔付きで、シュリが短い言葉をイシスに掛ける。


「ロイを放してやってくれないか? 死にはしないが窒息はする」


シュリに言われて、イシスは慌ててロイから手を離す。

ロイがイシスの膝の上でくたっと、ひっくり返った。


「あぁ! ごめんなさい! ロイちゃん!!」


慌てたイシスは、続けざまに膝からロイを落としかけて、あわやと言う所をロイは、シュリの手で保護された。

保護したロイをシュリが一撫ですると、ムクリと彼が起き上がった。


「ごめんなさい。ロイちゃん」


イシスがロイに謝り、ロイはイシスの謝罪を受け入れる。

この場はそれで、修まった。


「姫。一つ聞いてもいいか?」

「はい。何なりと」


シュリが神妙な顔で問い掛けて来るので、思わず背筋がピンと張る。

イシスは、何を問われても 包み隠さす話為、じっとシュリを見つめ、うなずいた。


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