青碧の魔術師(黄昏の神々)
「姫君。貴女は自分が何者か、よくご存知だと私は思っておりましたが……」
慇懃無礼に話し、礼を取るシュリに、拒絶を感じ取ったイシスは、ショックで大きく目を見開いた。
「私の立場? 貴方はそう言いたいの? 大国の姫は恋をしてはいけないの? 貴方をす……」
突然、イシスは唇に人差し指を当てられて、まくし立てていた言葉がピタリと止まった。
「その先を言ってはいけない」
酷く寂し気に囁く声に、哀しみをまとわせる瞳に、イシスは心を砕かれる。
「俺と君とでは住む世界が違う。君が光なら俺は影。大国の姫君である君と亡国の魔術師だった俺では、あまりにも違い過ぎる。仮に俺達が愛し合ったとして、誰が認めてくれる?誰も祝福などしてくれはしない。それに生きる時間すら違うんだ」
確かに、うかがい知れる未来だ。
シュリの言う事は間違っていない。
だがイシスは、そんな事では負けない少女だった。
喋らせようとしないシュリの指を掴んで、ギュッと握りしめると、強い瞳を輝かせてシュリに挑む様に言い切った。
「でしたら、私達が初めてになりましょう! 前代未聞!? 良いではないですか! 祝福? させて見せます!! 皆を納得させて見せます! 時間の流れだって私は平気です!」
イシスなら、全て実行してしまいそうだ。
シュリは彼女の剣幕に、セレナの強さを見た。
生まれ代わりで、育ちも環境も全く違うのに、イシスはセレナに、気性も考え方もわずかに似ていた。
シュリは、その事に思いあたって、苦笑いを無機質な顔に貼付ける。
そう、セレナならきっとこう言う。
慇懃無礼に話し、礼を取るシュリに、拒絶を感じ取ったイシスは、ショックで大きく目を見開いた。
「私の立場? 貴方はそう言いたいの? 大国の姫は恋をしてはいけないの? 貴方をす……」
突然、イシスは唇に人差し指を当てられて、まくし立てていた言葉がピタリと止まった。
「その先を言ってはいけない」
酷く寂し気に囁く声に、哀しみをまとわせる瞳に、イシスは心を砕かれる。
「俺と君とでは住む世界が違う。君が光なら俺は影。大国の姫君である君と亡国の魔術師だった俺では、あまりにも違い過ぎる。仮に俺達が愛し合ったとして、誰が認めてくれる?誰も祝福などしてくれはしない。それに生きる時間すら違うんだ」
確かに、うかがい知れる未来だ。
シュリの言う事は間違っていない。
だがイシスは、そんな事では負けない少女だった。
喋らせようとしないシュリの指を掴んで、ギュッと握りしめると、強い瞳を輝かせてシュリに挑む様に言い切った。
「でしたら、私達が初めてになりましょう! 前代未聞!? 良いではないですか! 祝福? させて見せます!! 皆を納得させて見せます! 時間の流れだって私は平気です!」
イシスなら、全て実行してしまいそうだ。
シュリは彼女の剣幕に、セレナの強さを見た。
生まれ代わりで、育ちも環境も全く違うのに、イシスはセレナに、気性も考え方もわずかに似ていた。
シュリは、その事に思いあたって、苦笑いを無機質な顔に貼付ける。
そう、セレナならきっとこう言う。