青碧の魔術師(黄昏の神々)
そんな飼い猫の様子を見て、シュリの硬い表情が、不意に柔らかくほころんだ。

誰もが見惚れてしまう表情。

長年付き従っているこの飼い猫でさえ、見惚れてしまう彼の微笑み。

だが悲しい事に、彼は本当の意味では笑え無い。

感情が有るのか、無いのか、この微笑みは処世術として作られる物だった。


その証拠に目が笑っていない。


それでも猫は、青年の笑みにつられて、にぱーっと笑う。


「それじゃぁ、飯でも食いに行くか? 」

「行くーいくー! おいらね、白身のお魚食べたい! ねーねーシュリ、良いだろ!」

「ロイ……お前って……現金」

シュリが、はあぁぁぁ……と溜め息をつきながら、肩を落とした。


「んっ!! なに、何っ! 」

ロイが、うるうると涙をにじませた瞳で、シュリを見上げる。

シュリは、胡散臭そうにロイをいちべつすると、立ち上がり、ドアの前に立った。


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