青碧の魔術師(黄昏の神々)
「皆々様!剣を収めて下さいますようお願い申し上げます。特に、リスノー様。落ち着いて下さいませ」
凛とした声が、ホール一帯に響く。
声高な女の声。
一同が注目する中、ルルイエが、シュリの耳元迄下がり、こっそりと彼に囁きかけた。
「新たな人物の登場ですな、ハスター様。あれは何者で?」
「知らん。俺の方が聞きたい」
シュリが、ぶっきらぼうに答えて、登場した人物の素性を図ろうと、辺りを見渡す。
それを目敏く認めたのは、声をかけた当の本人だった。
「人の皮の装丁の本は、二冊。男と女。この本は男だから、ルルイエの魔道書。ルルイエ異本ね。噂には聞いた事が有るけど、本物は初めて見たわ」
女の言葉に、目を見張ったのはルルイエ。
シュリも驚きはしたが、生憎、顔には出ない。
女が、シュリ達を見てクスリと笑った。
「お初にお目にかかります。青碧の魔術師様。私、この国の図書館の、図書室長をしております、ローザンヌ=マキ=イズナエルと申します。貴方様の事を、少し調べさせて頂きました。お気に障りましたのなら、お詫び致します」
シュリは、片眉を上げて反応して見せたが、何も言わず黙ったままだ。
イズナエルは、シュリの態度を見届けると、リスノー伯に矛先を向けて、言った。
「リスノー伯爵様。この方は、正真正銘、『青碧の魔術師』様です。今、ああして魔道書、『ルルイエ異本』を扱っておられるのが、何よりの証拠。剣を収め、かの君を愚弄するのはお辞め下さい」
イズナエルの言葉に、リスノー伯が顔を憤怒に赤く染め怒鳴り声をあげた。
「こ奴らこそ、私を愚弄したのだぞ! 身分違いも甚だしいと言うのに!」
イズナエルに当たり散らすリスノー伯に、彼女は一歩も引かない。
それどころか、淡々とした口調でリスノー伯に言い返す。
「お言葉ですが、身分を言うなら、リスノー伯爵より、魔術師様の方が上ですわ。ねえ」
最後にかけた言葉は、シュリへの呼び掛け。
彼は、それには応え無かった。
シュリの態度を、イズナエルは肯定と捉え、話を進めた。
凛とした声が、ホール一帯に響く。
声高な女の声。
一同が注目する中、ルルイエが、シュリの耳元迄下がり、こっそりと彼に囁きかけた。
「新たな人物の登場ですな、ハスター様。あれは何者で?」
「知らん。俺の方が聞きたい」
シュリが、ぶっきらぼうに答えて、登場した人物の素性を図ろうと、辺りを見渡す。
それを目敏く認めたのは、声をかけた当の本人だった。
「人の皮の装丁の本は、二冊。男と女。この本は男だから、ルルイエの魔道書。ルルイエ異本ね。噂には聞いた事が有るけど、本物は初めて見たわ」
女の言葉に、目を見張ったのはルルイエ。
シュリも驚きはしたが、生憎、顔には出ない。
女が、シュリ達を見てクスリと笑った。
「お初にお目にかかります。青碧の魔術師様。私、この国の図書館の、図書室長をしております、ローザンヌ=マキ=イズナエルと申します。貴方様の事を、少し調べさせて頂きました。お気に障りましたのなら、お詫び致します」
シュリは、片眉を上げて反応して見せたが、何も言わず黙ったままだ。
イズナエルは、シュリの態度を見届けると、リスノー伯に矛先を向けて、言った。
「リスノー伯爵様。この方は、正真正銘、『青碧の魔術師』様です。今、ああして魔道書、『ルルイエ異本』を扱っておられるのが、何よりの証拠。剣を収め、かの君を愚弄するのはお辞め下さい」
イズナエルの言葉に、リスノー伯が顔を憤怒に赤く染め怒鳴り声をあげた。
「こ奴らこそ、私を愚弄したのだぞ! 身分違いも甚だしいと言うのに!」
イズナエルに当たり散らすリスノー伯に、彼女は一歩も引かない。
それどころか、淡々とした口調でリスノー伯に言い返す。
「お言葉ですが、身分を言うなら、リスノー伯爵より、魔術師様の方が上ですわ。ねえ」
最後にかけた言葉は、シュリへの呼び掛け。
彼は、それには応え無かった。
シュリの態度を、イズナエルは肯定と捉え、話を進めた。