青碧の魔術師(黄昏の神々)
「魔術師様は、魔道王国ザイラスの出。それも最後の女王、シリルリナと『創世の魔術師』レン=キサラギの一人息子。シュリ=ザイラス=キサラギ。それが貴方様。相違ありませんわね」
『どうやって調べたのか……』
なかなか知り得ないであろう、シュリの経歴と生まれ。
それをすらすらと言い当てられ、彼は眉をひそめた。
「何故知っているのか……そう言いたげですわね。理由は、この歴史書ですわ」
イズナエルが小脇に抱えていた本を、ホールにいる人々に判るよう、掲げて見せる。
シュリは、それを見て息をのんだ。
「なんで、あんたがそれを……」
無表情で、歴史書を見つめるシュリ。
その本は、彼の家の書庫にあるはずのもの。
それが何故か、イズナエルの手の中にある。
「これは、先程寄贈されたものです。ザイラスの歴史書は、とても貴重な物なのです。有り難いものですわ……寄贈して下さった方に、御礼を申し上げたかったのですが、目を離した隙にお帰りになられたようで……残念ですわ」
イズナエルの言葉に、シュリは、はたと気付く。
『そう言う事か……』
――この国の王立図書館って凄いよ。あれは世界一だよ。お前も一度見てみると良い――
――何の忠告か……って言ったらつまらないよ。推理しなさい、シュリ――
『あの糞親父が、一枚噛んでいた訳か……』
だが、なんの為に?
何がしたい……?
漣の真意を汲み取る事ができず、悩むシュリに、今まで傍観者に徹していた人物の声が、耳に飛び込んできた。
「なんと! 魔術師殿はザイラスの王子であったか!」
わざとらしい程の驚き方。
まるで、役者が役を演じる様な不自然さに、シュリは溜め息を吐く。
『どいつもこいつも、大根役者の勢揃いかよ……』
「面白いな」
ボソッと呟くのは、ルルイエ異本。
「この、学芸会の様な陳腐な事象、貴方はどう出るのでしょうね? ハスター様」
「俺に振んないでくれる? バカバカしくて頭が痛くなる」
すっかり戦闘モードを解いて、肩を竦めるシュリの下に、おずおずと近付いて来る者がいた。
『どうやって調べたのか……』
なかなか知り得ないであろう、シュリの経歴と生まれ。
それをすらすらと言い当てられ、彼は眉をひそめた。
「何故知っているのか……そう言いたげですわね。理由は、この歴史書ですわ」
イズナエルが小脇に抱えていた本を、ホールにいる人々に判るよう、掲げて見せる。
シュリは、それを見て息をのんだ。
「なんで、あんたがそれを……」
無表情で、歴史書を見つめるシュリ。
その本は、彼の家の書庫にあるはずのもの。
それが何故か、イズナエルの手の中にある。
「これは、先程寄贈されたものです。ザイラスの歴史書は、とても貴重な物なのです。有り難いものですわ……寄贈して下さった方に、御礼を申し上げたかったのですが、目を離した隙にお帰りになられたようで……残念ですわ」
イズナエルの言葉に、シュリは、はたと気付く。
『そう言う事か……』
――この国の王立図書館って凄いよ。あれは世界一だよ。お前も一度見てみると良い――
――何の忠告か……って言ったらつまらないよ。推理しなさい、シュリ――
『あの糞親父が、一枚噛んでいた訳か……』
だが、なんの為に?
何がしたい……?
漣の真意を汲み取る事ができず、悩むシュリに、今まで傍観者に徹していた人物の声が、耳に飛び込んできた。
「なんと! 魔術師殿はザイラスの王子であったか!」
わざとらしい程の驚き方。
まるで、役者が役を演じる様な不自然さに、シュリは溜め息を吐く。
『どいつもこいつも、大根役者の勢揃いかよ……』
「面白いな」
ボソッと呟くのは、ルルイエ異本。
「この、学芸会の様な陳腐な事象、貴方はどう出るのでしょうね? ハスター様」
「俺に振んないでくれる? バカバカしくて頭が痛くなる」
すっかり戦闘モードを解いて、肩を竦めるシュリの下に、おずおずと近付いて来る者がいた。