青碧の魔術師(黄昏の神々)
シュリはこの国を含めて、世界中を旅している。

腕が良いせいか、護衛やら時折出没する魔物や、盗賊退治を村や町から請け負って得る報酬を、路銀として生計を立てている。



この世界は、四つの王国で構成されている、ドーナツ状の土地だ。

元々は円形の土地で国も五つあったが、大地の真ん中に位置していた国が、一夜の内に土地事消失してしまった。

大地迄もえぐり取る、巨大な光の柱が国を覆い尽くし、一瞬のうちに滅ぼしたと、後の文献には書かれている。


かつて魔術が栄えていた頃、魔導師の国と謳われた、魔道王国ザイラス。

その国が、国民諸とも消え失せた原因は、かの国が失くなって400年経った今でも解明されていない。
ただ、一つだけ今でもまことしやかに語り継がれている事がある。







「ね〜。シュリ」



ロイが、シュリの肩から耳元でコソリと囁いた。

他人に聞かれないように話すロイの爪が、肩に食い込む。

シュリが、大通りから路地へと移動すると、そこをすかさずロイが、地面に飛び降りる。

無駄の無い一人と一匹の動き。

ロイがシュリを仰ぎ見た。

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