恋、来い、請い
自分は、一葉が好きなんだ。
昔からだけど
やっぱり自分は鈍感で
今更になって気がつくなんて。
だから人を傷つけてしまうんだ。
「・・・・そうかな、とは思ってたの」
「え?」
意外すぎる反応に驚く。
そんな自分を見つつ
樹ちゃんは続ける。
「そもそも、あたしなんかが
ちーくんと付き合えるなんて
・・・・・・・・ありえないもの」
何もいえない。
言うことができない。
「ちーくんにもきっと事情があったのよね?」
頷く
「じゃあいいのよ、もしかしたらあたし、
家で泣いちゃうかもしれないけど
・・・・・・・気にしちゃ、駄目だよ。」
樹ちゃんの精一杯の気遣いに胸が痛む。
「だってちーくん、本当は優しいんだから」
本当に優しいのは樹ちゃんだよ。
「・・・・・・・・じゃあね」