恋、来い、請い

「････････････よかった」
「･･･それはウチに力がないと思ってたってことか？」
「うん、そう･･･」

ちがうよ。
気まずくならなくて、だよ。

「一葉」
「ぁあ？」



「手、繋いでいい？」
「･････････好きにしろ」

一葉の手と私の手を重ねる。
一葉の手は体の大きさとは違って
大きかった。

一葉のほうを見るとやっぱり
向こうを見ていて見えなかったけど

きっと照れてるって今は分かる。




「････････なんだよ」
「なんでもないよ」

むすっとした顔だけど
思ったとおり顔を真っ赤にしていた。


それから一葉は私が
どんな態度をとっても



手を離さないでいてくれた―。




「あ、じゃあもう此処まででいいわ。」
いきなり手を離されて少しビックリした。

「え？でもたしか一葉の家って
もっと先じゃあ･･」

「いいんだよ、じゃあな！！！」


振り放された手

走り去る一葉

立ち尽くす私


一瞬だけ悪い考えが浮かんだ―。