恋、来い、請い
一葉SIDE
ちーに途中まで送ってもらった。
多分最後まで送ろうとしていたけど
断った。しかもさりげなく。
普通に帰るだけならともかく
手を繋いで帰るのは少しだけ
躊躇があった。
「ただいま・・・・」
家に帰ってもほとんど見向きもしない親。
家で話し相手になるのは
自分の弟くらい。
その弟も今は何処かに出かけている。
「どーすっかなぁ・・・これから・・」
リュックのようにしょってた鞄を
机に放り投げると
一瞬からだが軽くなったような気がした。
そのままベッドに倒れこむ。
いきなり告られて
試しでもいいって言われて
それに甘えて付き合ってるっぽい
そんな自分ってどうなの?
ちーにとってはチャンスなのかもしれないけど
ウチがちーを振ったら
結局傷つけてしまうんじゃないか・・・・
「くそっ・・・・」
ため息みたいな文句を言うと同時に
枕を思い切り壁に投げつけた。