恋、来い、請い


「一葉って自分のこと本当は俺って言うんだね・・・。」
言った瞬間に見つかった。
いいことなのか、悪いことなのかは分からない。

「新しい一葉発見。」

そう言ってでこを人差し指でつつく。
そしてまた優しい笑顔。

そーゆーことを言うな。
どんな態度を取っていいか分からなくなる。
どんどん分からなくなって
自分すら分からない気持ちに


素直になってしまう――・・・。


「ウチはちーのこと今日初めて知ったよ」

ちーの体がビクッとする。
目も自然とそらされている。
それだけ嫌な思い出だったんだ。

「ありがとうな。辛いこと教えてくれて。」

しゃがみこんで小さくなったちーの頭を
ウチは初めてクシャクシャと撫でた。
なれない感じにちーも

そしてウチも

ドキドキした。
 

< 87 / 197 >

この作品をシェア

pagetop