%完璧なケータイ小説%

「それで、ご依頼はどういったことですか?」


自称、“街づくりのプランナー”をしている私の元へは、

日々、さまざまな依頼が舞い込んでくる。


古い民家が密集している場所を、新しく整備したり、

駅周辺の活性化を目指したり、

あるいは、郊外型の大規模住宅の設計をおこなったりなど。


これでもなかなかの売れっ子だ。


そんな私のところへ現れた今日の依頼人は、成人したばかりの若者だった。

それもわざわざ海を渡り、異国の地を踏んで私の元へやってきたのだ。


珍しいことだ。

大体が私のところへ来る客は、年配の者が多い。


こんなにも若い人が、

自分のことではなく、人々のためを思って街づくりに興味を示すなんて。

すばらしいことだ。

きっと、親御さんの教育の賜物だろう。

いや、社会全体が、この若者をこのように立派に育てたのか。



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