%完璧なケータイ小説%
若者はいかにも田舎の匂いを感じさせる好青年だったが、
若者特有の尖った雰囲気がなさすぎるようにも思えた。
若者は、俯いたまま、その言葉を小さく口にした。
「実は、社会を不安定にして欲しいのです」
「なんですって?」
聞き間違いだろうと思ったのだが。
「ですから、私の暮らしている国を不安定にしてほしいのです」
若者は、わずかに声のトーンをあげて答えた。
「不安定にって、それはどういうことです」
わけがわからず、説明を求めた。
豊かな社会にするために手を貸してきた自分に、
まったく正反対のことをせよだなんて。