好きだから、別れよう。
マサキさんの声が響いた左耳が、燃えるように熱くなるのがわかった。
目の前で繰り広げられているパレードに目を向ける余裕もなく、
私は少しだけ俯いた。
「……嫌?」
下から覗き込むようにして、マサキさんが私に問い掛ける。
声を出すこともできずに、私は首を小さく横に振る。
少しほっとしたような表情をして、マサキさんは私の頭を撫でた。
「嫌じゃないならよかった!こーゆうのって、無理矢理するもんじゃないからさ。アヤも『したい』って思ってくれたときに、できたらいいなっ」
やっぱりマサキさんは、大人だ。
自分の意見を押し付けない。
私のことを…たくさん気遣ってくれる。
私の気持ちをすごく大事にしてくれる。
私……
この人の彼女になれて、本当に幸せだと思う。
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