好きだから、別れよう。
「え?あ、リカコ!おはよ…」
叩かれたお尻をさすりながら振り返ると、そこには腕組みをしたリカコが立っていた。
「もー、なかなか改札から出てこないから迎えに来ちゃったじゃん!ケータイ鳴らしても出ないし!」
あれ?ケータイ……
あ、サイレントになってる。
リカコは、待ち合わせ場所である改札を抜けた階段下で待っていてくれたけど、
なかなか出てこないうえにケータイも通じない私を心配して、わざわざ入場券を買ってホームまで迎えに来てくれた。
「アヤのことだから、ま〜たマサキさんに見とれてたんでしょ!」
小悪魔な目で、リカコは私の頬をつねった。
や、見とれていたわけじゃないけど……
そんなこと言われると、思い出しちゃう。
今朝のスーツ姿、優しく笑った顔、昨日のディズニーランド。
昨日の………
!!!
「ちっ、違うよ!私は、別に…そんな……」
我に返って、私は慌てて頬の上のリカコの手を振り払った。
「はーいはい。話はあとでゆっくり聞くから。今日は始業式終わったらもう下校でしょ?マック行っていろいろ話そうよ!
アヤのその真っ赤な顔の理由も聞きたいし…ね?」
ニヤッと笑って改札に向かって歩き出したリカコの背を軽く叩いて、私たちは学校に向かった。
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