好きだから、別れよう。


「…大丈夫?」


彼は私の肩を掴んだまま言った。

耳元で聞く、優しい彼の声。



私は痴漢の恐怖から開放されて安心したのと、

彼が私を助け出してくれたことが嬉しくて、

満員電車の中でボロボロ泣いた。



彼はそんな私の肩から手を離すと、

吊り革を掴まず、



私の頭を優しく撫でてくれた。







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