好きだから、別れよう。
「とりあえず、店の中入りますか?結構混んでるみたいだから、少し待つかもしれないし」
シンヤさんの言葉で、私たちは駐車場から店内に向かった。
2m程前を、リカコとシンヤさんが楽しそうに歩く。
右隣にいるマサキさんを見上げると、ボーっと前を向いていた。
「マサキさん…?」
マサキさんの服の裾を掴んで、少し引っ張ってみた。
「え?あ…アヤ、どした?」
背の低い私を見下ろすような形で、顔をこちらに向けてくれたけど、
私を…見ていないような気がする。
「マサキさん、どうしたの?」
不安な気持ちを隠せずに、マサキさんの服の裾を掴んだままでいる私に、
マサキさんは優しく微笑んだ。
「ううん、なんでもないよ。リカコ…ちゃんさ、アヤの親友だって聞いてたから、おとなしい系の子かと思ってたから、意外だった〜!」
リカコに聞こえないように、マサキさんは小さな声で私の耳に囁いた。
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