好きだから、別れよう。
「ほら、行くぞ?なんにもないけど」
ドキドキしっぱなしの私の額を小突いて、マサキさんは車から降りた。
出窓と同じ、白い階段をマサキさんに付いて登る。
「どうしよう、なんか緊張する〜」
両手で顔を押さえると、いつもより熱く感じるほどに。
「ホントなんにもないよ。あ、飲み物は烏龍茶でいい?コーヒーもあるけど」
言いながら、マサキさんの右手が鍵を回す。
「烏龍茶がいいな!」
「了解。ほい、入って」
開かれたドアからゆっくりと中を覗くと、
日当たりのいい明るい室内に、マサキさんの優しい匂いが風に乗ってやってきた。
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