好きだから、別れよう。



それから、マサキさんの部屋で他愛もない話をして、時間は過ぎていった。



夕方の空がオレンジ色に染まる頃、マサキさんは私を車で家まで送ってくれた。



「今度はアヤの家から、俺の家まで歩こうな」



私の家の前に着くと、マサキさんは私に右手の小指を差し出した。



「あっ、それ…久しぶりだね」



「うん。アヤ…卒業式、絶対行くからな。ほら、約束。」



私も右手の小指を差し出して、マサキさんの小指と優しく絡めた。



「うん、約束!」








私は車から降りて、マサキさんの白い車が見えなくなるまで、大きく大きく手を振った。



マサキさんも運転席の窓から手を出して、数回手を降ってくれていた。



ブレーキランプ、5回点滅はないけれど。



でも、小さく振ってくれた手が優しくて、嬉しい。






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