好きだから、別れよう。



今日も、俺は電車の中で立っている。



今日はいつもとは比べものにならないくらいの混みよう。



女性専用車両も満員なのか、珍しく女子高生も乗っている。



あんまりジロジロ見てセクハラだって言われてもいけない…


…と思った、そのとき。



女子高生が、俯いて、微かに震えてることに気が付いた。



咄嗟に、声を掛ける。



「どうしました?」





女子高生は、今にも零れ落ちそうなほど目に涙を溜めて、俺を見つめた。



彼女の後ろには、中年の男性の姿。



俺は強引に彼女の肩を掴み、自分の元へ引き寄せた。




「……大丈夫?」



女子高生は安心したのか、ポロポロと大粒の涙を零した。



……なんでだろう。



気付いたら俺は、泣きじゃくるその子の頭を…


そっと撫でていた。








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