好きだから、別れよう。
間もなくして、電車は彼女の高校の最寄駅に到着した。
彼女と一緒にホームに降りると、彼女は深々と頭を下げた。
「あ…あの…。助けていただいて、ありがとうございました!」
栗色の髪。
色白な肌。
あまり着崩していない制服。
『純粋』
そんな言葉がピッタリ合うような子だった。
その色白なおでこに、デコピンをする。
「いたっ」
「これからは、ちゃんと女性専用車両に乗ること。ラッシュんときは、あーゆーの多いから。
いい?約束。」
差し出した俺の小指に、躊躇しながらも、彼女は細い小指を絡めた。
発車のメロディーが鳴り、急いで電車に乗り込もうとすると、会社の先輩が俺を呼んだ。
彼女の方を振り返ると、彼女はホームから俺を見送ってくれていた。
『約束、守れよ』
そう呟きながら、右手の小指を立てた。
そして…
『また…逢えますように』
そう願っている、俺がいた。
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