好きだから、別れよう。



――翌日。



朝、いつもの電車に乗り込み、ちらちらと女性専用車両を見ている俺がいた。



昨日の約束、彼女はちゃんと守るか?



――答えはわかっていた。

あの子は、絶対守る。

そういう子。






彼女は7時32分に停車した駅から乗り込んできた。


真っ直ぐ女性専用車両に向かって歩く姿を見て、やっぱりこの子はこういう子だ、と安心した。



彼女は車両越しに俺の姿が見える席に座った。



最初からジーッと見るのもアレだし、頭の中で10秒数えてから彼女の方へ目をやった。




……あ!



目が合ったのに、逸らされた。


そこからまた、ちらっと俺の顔を見る仕種がかわいい。



この子、わかりやすい。



俺のこと、好きなんだろうな。






まぁ、そう言う俺も、彼女のこと好きになっちゃってるけど。










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