好きだから、別れよう。



俺は彼女に見えるように、右手の小指を立てた。



彼女も笑って、右手の小指を俺に見せた。



かわいい。


ヤバイ、かわいすぎ。







でも!


俺、いい大人だし。


20代後半の男が、女子高生相手に…真摯な態度じゃなきゃあダメでしょう。



彼女が降りるまで、冷静な態度を保った。






彼女はホームに降り立つと、俺に手を振ってくれた。


年甲斐もなく、女子高生に向かって手を振り返した。


彼女が自動改札に向かって歩き出したので、俺はホームと反対側の街並みに目をやった。





いつもと変わらない、青い屋根。





彼女を好きになればなるほど、事実を伝えなきゃいけない不安に…襲われる。









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