好きだから、別れよう。



道路の隅に車を停車する。



「わー!すごーい!キレー!」



フロントガラス越しの花火を見て、アヤちゃんは歓声をあげる。





アヤちゃんの方が綺麗だよ。




そう思いながら、アヤちゃんの帯にキティーちゃんの団扇を挿した。



「ごめんね!ホントは早めに来て、車停めて歩いて見たかったんだけど…時間なくて!」



花火の轟音に負けないように、大声を出す。



「大丈夫です!充分キレーです〜!」





でも、花火は見れたけど、

車の中じゃせっかくの浴衣が映えないよ。






「せっかく浴衣着てくれたのに…。でも、アヤちゃんのかわいい浴衣姿、俺だけ独り占め〜!」







申し訳ない気持ちを掻き消すように、わざと明るく言ってみた。



すると、アヤちゃんの顔が、暗がりでもハッキリわかるくらい赤くなった。






照れてるの?


純情なアヤちゃん。




もっといじめたくなるじゃん?








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