好きだから、別れよう。




…いや、


待て待て、俺。



そんなんしたらいかんだろ!






自分と葛藤していると、今日最後の花火だとアナウンスが入った。



「最後だって。見ようぜ!」



いやらしい自分の考えを抑えこむように、俺は花火を見た。



綺麗。



こんなに綺麗なものを、アヤちゃんとふたりで見れてよかった。







たまたま同じ時間に、同じ電車に乗っていた奇跡。






アヤちゃんも、運命感じてくれてたらいいな…。












ガラにもなく、そう思ってるときだった。



「マサキさん…」



俺を呼ぶ、小さな声。



「ん?」










しばしの沈黙。





そして、大きな花火の音に重なりそうになりながらも、


俺はハッキリ聞いたんだ。



消え入りそうな、アヤちゃんの声。



俺に向けられた、愛の言葉。







「マサキさん…好きです」







.
< 88 / 222 >

この作品をシェア

pagetop