好きだから、別れよう。
…いや、
待て待て、俺。
そんなんしたらいかんだろ!
自分と葛藤していると、今日最後の花火だとアナウンスが入った。
「最後だって。見ようぜ!」
いやらしい自分の考えを抑えこむように、俺は花火を見た。
綺麗。
こんなに綺麗なものを、アヤちゃんとふたりで見れてよかった。
たまたま同じ時間に、同じ電車に乗っていた奇跡。
アヤちゃんも、運命感じてくれてたらいいな…。
ガラにもなく、そう思ってるときだった。
「マサキさん…」
俺を呼ぶ、小さな声。
「ん?」
しばしの沈黙。
そして、大きな花火の音に重なりそうになりながらも、
俺はハッキリ聞いたんだ。
消え入りそうな、アヤちゃんの声。
俺に向けられた、愛の言葉。
「マサキさん…好きです」
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