好きだから、別れよう。



…『好き』?


俺のこと、好き?




確かに、そう言ったのが聞こえた。



…でも、歳をとると、なんだか自分に自信が持てなくなってくる。



確かにそう聞こえたけど、もう一度しっかりと聞きたい。





俺は、何事もなかったかのように、アヤちゃんの方を向いた。



「ん?何か言った?」



俺はもう一度アヤちゃんの告白の言葉を待っていたけど、アヤちゃんは恥ずかしそうに俯いてしまった。



「…や…何でもない…です……」









え…

えぇぇぇぇぇぇぇっ!?






そ、そんな…。










返す言葉が見つからないまま、見物客が帰り始めたので、俺も車を動かした。







.
< 89 / 222 >

この作品をシェア

pagetop