好きだから、別れよう。
「もう送って行った方がいいよね?ご両親心配するでしょ?」
告白が聞けなかったのは残念だけど、高校生の女の子を夜遅く連れ回すわけにはいかない。
当たり前の正義感で言ったつもりだったけど、アヤちゃんは哀しそうな顔をした。
「家に帰っても誰もいないから……」
…これが、アヤちゃんの素顔なんだと思った。
「…うち、お父さんいないんですよ〜!私が小さい頃離婚して…
お母さんは残業したり夜もパートしたりで…帰ってくるの遅いから…」
…これが、強がってるアヤちゃん。
無理に笑って明るく振る舞うのが痛々しかった。
そして……
『父親がいない』と言うアヤちゃんが、
『あの子』の姿と、一瞬重なってしまった――。
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