好きだから、別れよう。
「あの…私、まだ返事もらってないです……」
アヤちゃんはキティちゃんのストラップをいじりながら、ちらっと俺を見た。
かわいいなぁ。
普通、わかるだろ?
「団扇のためだけに…好きでもない子のために、わざわざ会いに来ると思う?」
目を見開いたアヤちゃんが、俺を見つめる。
「それって…マサキさんも、私のこと…好き…ってことですか……?」
…そうだよ。
いつしか、惹かれてた。
10歳も歳が離れた君に。
俺は車のルームランプをつけた。
「こういうことは、ちゃんと相手の目を見て言わなきゃね」
アヤちゃんの赤く染まった頬が見えた。
泣きそうな目で見つめる先には、俺。
「アヤ…好きだ。俺と付き合ってください」
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