覆水
 十月二日。快晴。
 おーそーいー! 何で五ヶ月も掛かるのかな? しかも、たった一枚。
 もしかして、向こうで彼女でも出来た?
 外人の彼女……。金髪……。ムチムチ……。この前、通販で見た胸が大きくなる機械、買ってみようかな? そうすれば……!
 ちょっとエッチな気分。まずいまずい。
 こういう日は、眠るに限るよ君! おやすみなさい。
 そして、寝ていないという。



 十二月二十四日。快晴。
 義久に誘われて、ご飯を食べに行った。どこに連れて行ってくれるのかな? と思ったら、ジョナサンだった。顔は良いのに、これだから。ハンバーグは、何時もの様に美味しかったから良いけれど。
 しかし、一生の不覚。まさか、こんなサプライズがあったなんて。
 しかも、中々良い。五十点も近いかも。義久の純粋な心。それは、大いなる傑作を生み出すかも知れない。失わせては、絶対に行けない。しかも、一日トータルで考えると、ちょっと、今日の義久は格好良かったかも、なんて。
 けれど、手紙来ないな。忙しいのかな。



 二月三日。雪。
 パパから、遂に八十点貰った! 初めて……。
 やった! 凄く嬉しい。何でも買ってくれるって言ってたけれど、あんなの頼んだら卒倒しちゃうかな? やっぱり、お小遣いで買うしかない!
 アルバイトって、楽しいのかな?
 義久に訊いてみよう。



 三月十六日。雨。
 何で、こんなに短いのだろう? 義久にも余り返してないみたいだし……。
 不安になる。何してるんだろう。
 けれど、写真、嬉しかった。ドラクロアの、民衆を導く自由の女神。
 ルーブルに行ったのかな? 一人で?
 気になる気になる気になる。
 
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