覆水

三

　六月六日。くもり。
　日記をまた書こうと思った。
　また、パパとママがけんかしてる。パパは、なんか、仕事が移動出来ないみたい。
　ミズキ、どうしよう。



　六月七日。晴れ。
　夕ご飯を食べたあと、パパがお話があるって言うから、行ったら、パパはやっぱりこれないみたい。ママも、決心したって言ってた。パパを応えんしようって言ってた。
　そして、忘れようって言ってた。
　忘れるわけ無いじゃんって思った。



　六月八日。晴れ。
　ダンボールに、荷物を今日は入れた。
　パパが住むから、ミズキのものは、置いていく事になった。
　お人形だけ持っていってもいい？　ってパパに言ったら、パパ、ちょっとって言って、どこかに行っちゃった。
　けれど、ママが良いよって言ってくれた。
　うれしい。



　六月九日。雨。
　雨はきらい。ぬれるから。傷あとが目立たなくなったねってママに言われた。
　ママがぎゅってしてくれた。
　大好きって言ってくれた。
　ミズキはって聞いたら、もちろん大好きって言ってた。
　ミズキ、良かったね。
　パパは今日帰ってこなかった。お仕事が忙しいってママが言ってた。パパもいればいいのに。宿直室に、ラーメンばっかりあるみたい。
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