魚姫
『何をそんなに泣いてるの』
あたしの周りの水泡がぱちんぱちんと弾けるたびに、ささやくような声が聞こえてくる。
誰?
警戒して、構える。
『大丈夫よ、海の者を襲う必要なんてないから』
気味が悪かった。
何か禍々しいもののようで、あたしはググッと体を引き締めると、視野を目一杯広げた。
『クスクスクス。可愛いイルカだこと。群れからはぐれたのね?』
あたしの仲間のこと、知ってるの?
『あたしはなんでも知ってるわ。だって、海を支配するものだもの。さぁて、そろそろ仕事しなくちゃね』
ねぇ、教えて、あたしの仲間はドコにいるの?!
『もっと西よ。ずっと西。そこにはあなたと同じ種類のイルカがいるわ。分かったらとっととお行きなさい。あなたがいると気が散るわ』
どうして?
『これから船を沈めに行くのよ。巻き込まれる前に逃げないと、知らないわよ』
どうして?!
『人間を殺すために決まっているじゃない。目・・に、余R・・のゥよ!あいつら・・は、邪、魔、なァ・・ッNォゥ!!』
その声を引き金に、ボコボコボコ!!!と激しく泡が立ったかと思うと、大きな大きな何かの影が真っ直ぐに船へ向かっていった。
ダメ、ダメ!!やめて、その船にはっ!!!
「キュイィィィイッ」
あたしの泣き声に、彼が振り返って。
ドオオオオオオオッッッ・・・・・!!!
大きな影は激しく船にぶつかり、白い壁は嫌な音を立ててひび割れていった。
悲鳴と白く大きな船体を、海の唸りが巻き込んでゆく。
彼は一瞬あたしを見て、落下する彼女の手をつかもうと身を乗り出した。
あたしは怖くて、震えた。
体の全てが、凍ってしまったみたいで、息すらできなかった。
キリク!!
リジー!!!
あたしの周りの水泡がぱちんぱちんと弾けるたびに、ささやくような声が聞こえてくる。
誰?
警戒して、構える。
『大丈夫よ、海の者を襲う必要なんてないから』
気味が悪かった。
何か禍々しいもののようで、あたしはググッと体を引き締めると、視野を目一杯広げた。
『クスクスクス。可愛いイルカだこと。群れからはぐれたのね?』
あたしの仲間のこと、知ってるの?
『あたしはなんでも知ってるわ。だって、海を支配するものだもの。さぁて、そろそろ仕事しなくちゃね』
ねぇ、教えて、あたしの仲間はドコにいるの?!
『もっと西よ。ずっと西。そこにはあなたと同じ種類のイルカがいるわ。分かったらとっととお行きなさい。あなたがいると気が散るわ』
どうして?
『これから船を沈めに行くのよ。巻き込まれる前に逃げないと、知らないわよ』
どうして?!
『人間を殺すために決まっているじゃない。目・・に、余R・・のゥよ!あいつら・・は、邪、魔、なァ・・ッNォゥ!!』
その声を引き金に、ボコボコボコ!!!と激しく泡が立ったかと思うと、大きな大きな何かの影が真っ直ぐに船へ向かっていった。
ダメ、ダメ!!やめて、その船にはっ!!!
「キュイィィィイッ」
あたしの泣き声に、彼が振り返って。
ドオオオオオオオッッッ・・・・・!!!
大きな影は激しく船にぶつかり、白い壁は嫌な音を立ててひび割れていった。
悲鳴と白く大きな船体を、海の唸りが巻き込んでゆく。
彼は一瞬あたしを見て、落下する彼女の手をつかもうと身を乗り出した。
あたしは怖くて、震えた。
体の全てが、凍ってしまったみたいで、息すらできなかった。
キリク!!
リジー!!!