Secret love.
「あーっ!繭!おはよ〜」

「おはよ、萌花」

「はよ!佐倉!」

「おっおはよっ!本条くんっ」

私は一瞬にして状況を把握した。
萌花は祐介のことが好きなんだ。
今分かった。顔を赤らめてたし、上がってたし。
これじゃあ私、除けものじゃん。

「繭ーっ!土曜繭が来なかったから私一人で展示会に行ったんだよ〜」

「ごめんね。急に用が出来ちゃたから」

「大丈夫!私も何かと楽しかったからね」




萌花、幸せそうだな…。なんか羨ましいよ。

「笹川、次の展示会には必ず来いよな」

「うん、分かってる」

「そのために俺も力いっぱい頑張るからよ」

「頑張ってね!本条くん!」

「ありがとな、佐倉」

「いいよっ!全然!応援するのも友達の務めでしょ!」

「だよな」



なんか、付き合いたてのカップルみたいじゃんソレ。
コンチクショウ。見せつけやがって。

「私ちょっとトイレ行ってくるよ」

「分かったー!いってらっしゃい」




確か初めて祐真と出会ったのって、トイレ探してた時だったよな。
その時にナンパみたいなことされてさ、笑われたり、怒ったりしたっけ。

なんか、ずっと前のことみたいに思えるよ…。今も私は心のどこかで『また合えないかな』って期待してる…。

私が勝手に好きになって勝手に突き放して…ホントに自己中だよな、私って。
祐真もいい迷惑だったよね。





<キーンコーンカーンコーン>

チャイム鳴っちゃった。
小走りで、三階の突き当たりにあるトイレに駆け込んだ。
用をたした私は屋上に向かった。
ただ祐真の授業をサボりたかっただけ。そのほかに深い意味はないけど。


「あーあ、サボっちゃった。新入生がサボりってどーよ」

ただ祐真の声が聞きたくなくて、祐真の顔が見れなくて…。
って言って逃げてんのは私か。

「なんか、本でも持って来ればよかったかな。退屈だ。」

早速、祐真の顔が見たくなってきた。
私は薄情な奴だ。最低だよね。
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