Secret love.
それだけ言い残すと祐介は去って行った。

萌花にどんな顔して会えばいい…?
なにより祐真にどんな顔して会えばいいのか分からない。

私も遅れて多目的室を後にした。


<ガラッ>

教室を見渡してみるとそこには祐介の姿がなかった。
気を遣ってくれたんだ。気まずくならないようにって…。
やっぱ祐介は優しいな。


「繭!後少ししかないよーっ勉強しよっ!」

何も知らない萌花がはしゃぐ。罪悪感、後ろめたさでいっぱいだ。

「さっき祐介借りてって悪かったね萌花」

「いやー大丈夫だよ!本条くんが行きたいって言ったから仕方ないって!気にしないでね?」

「うん、ありがとう…」教卓にはギラリと私を睨む祐真。
その視線ですら痛い。
私は目を背けることしかできなかった。
ごめんなさい…祐真。



<キーンコーンカーンコーン>

「「あ」」


チャイム鳴っちゃったね、と私達は顔を見合わせて笑った。

「萌花、私祐真のとこ行ってくるね」

「うん!仲良くね!」

変わらず笑顔で私に接してくれる萌花を見れなかった…。

私は教室を出て行く祐真を引き止めた。

「先…じゃない、祐真!」

振り返らず私の手を掴みグングン引っ張っていく。握る手には力がこもってた。


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