Secret love.
『お父さん』と呼んでも返事が返って来なくて。
幼かった私には意味の分からない話しだったから気づくのが遅くなった。



それからお父さんは――――



そこまで思い出して目が覚めた。


「目、覚めた?」

「あ…祐介」

「寝ながら泣いてたぞ」

「あ、ホントだ…」

「なんかあったか?」

「なんもない。それより萌花どーしたの?」

「先に帰ってもらった」

「………」







<ガラッ>

「繭、帰ろ」

「祐真…まだ帰ってなかったの?」

「繭が起きるの待ってたんだよ」

「そ…か。ありがとう」




「先生、俺負けませんから」

そういうと『じゃあな』と頭をポンと撫でて教室を出ていった。




「じゃあ帰ろ、祐真」

「待って」

「なに?」

「なんで泣いてたの」

「ううん、なんでもな「なんでもなかったら泣かないじゃん」





私は戸惑った。
あの夢の話をすれば祐真はなんて言うんだろう。


「…ホントになんでもないよ」

「お仕置きされたいの?」

「………」

今の私にそんな余裕は一切ない。


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