Secret love.
「だって苗字しか知らないもん」

「そうだっけ??」

「うん、そうだよ。下の名前は分かんない。なんて言うの?」

「俺はー、『柳川 祐真』だから『柳川』じゃなくて『祐真』って呼んでよ」





ふーん……。祐真って言うんだ。下の名前。


「じゃあ私の名前も教えといてあげる。私は『笹川 繭』って言うんだ」

「へぇ、『繭』か。いい名前じゃん」

「ありがと。」

「じゃあそろそろ教室に行こうか」

「だね」



私と祐真は無言のまま教室に向かう。

なんか……私、変だ。

祐真にからかわれると腹が立ったり
褒められると嬉しくなったり………。
まるで、自分であって自分じゃないみたいだ。
こんな感覚初めて。

なんなんだろう…コレは。



<ガラッ>

「ほら席に着けー!配り物するぞー」

やっぱ祐真はすごい。
皆がすぐ祐真の指示に従ってるよ。
まぁ、新入生だからっていうのもあるだろうけどすごいなぁ……。

「なぁ、笹川。あの先攻お前の知り合い?」

「まあね。そんなとこかな」

「ふーん……」



なんだかんだ言って私と祐真は確実に仲良くなっていった。
初めはあれだけ『嫌な奴』って思ってたのに今ではそんなこと思わなくなってる自分がいた。

なんか、あれだね。
初めて友達ができた時みたいだな。
なんかちょっと嬉しいかも。


「はーい、じゃあ今から自己申告書書いてもらいまーす。書いた人から帰っていいよー」


そうだ。コレがあったんだった。
ったりーなぁ〜…。


「繭〜!自己申告書なんて書くの?」

「なんて…って普通に書くけど?」

「そっか!じゃあ私も普通に書く〜」

「ダメ〜萌花はちゃんと考えなきゃ」

「えぇ〜?なんで〜」

と笑いながら私と萌花は楽しげに話す。





「書けた人はー、先生の所に持ってきて」


祐真がそう、呼びかけると生徒達は次々と提出しだす。

え!?早っ!!私まだ書き終わってないんだけど!!








……で、ちゃっかり萌花と祐介も提出していた。


「えっ!萌花と祐介もう書き終わったの!?」
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