Secret love.
それから兄貴が帰って来たのは9時。


どうやら繭を家まで送って来たみたいだ。


「兄…「繭は俺が貰う」





心臓がえぐられたかと思った。
何も言い返せない俺自身にも苛立った。




兄貴は黙って書斎に入って行った。

兄貴はモデル兼小説家だ。


日曜も頭は繭のことでいっぱいで…生徒の宿題を点検するのも忘れていた。

繭が




今何してるのか




泣いてないか




誰と一緒に居るのか







会いたい…会いたいよ
繭…。
会って力いっぱい抱きしめたい。
俺の物ってしるしを付けたい…




こんなにも…好きなのに…愛してるのに何故伝わらない…??








「………繭…」



繭じゃなく他の女だったら傷つかなかったかも。

だけど、繭しか見えない…繭しか愛せない。






駄目だな…俺。

繭が傍に居なきゃなんにも出来ない…



あの幼さの残った可愛い笑顔…仕草…声…体…。

全てが俺の物だって過信してたんだと思う。
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