秘密恋愛







あたしと違う、


色素の薄い、サラサラの髪に


そっと、指を通す






静かな時間が


ゆっくりと流れていく






どれくらい経ったのだろうか


乾かすことを忘れていた髪から


すっと、一滴の水が滴った・・・





「ん・・・」





その雫は、見事お兄ちゃんの顔に的中





『あ・・・っ』





声をあげたときにはもう手遅れ



お兄ちゃんの瞼が、


ゆっくりと開いた





『ごめん・・・


起こしちゃった?』





髪に通していた指を抜き、


そっと、微笑んだ









< 519 / 531 >

この作品をシェア

pagetop