先生

「はあ」
帰りのＨＲも終わり、彩花は玄関に向かってトボトボと歩いていた。
頭に浮かぶのは前期選抜のことばかり。
「やだなあ、、、」
そう呟いた時だった。

「彩花」
後ろから大好きな声がして、彩花は振り返った。
そこには、西本先生。
「彩花どうしたんや？元気ないやん」
「あー、、、うん(笑)」
先生から話し掛けてくれたのに、うまく笑えない。
「前期選抜のことか？」
そう言うと、先生は彩花と並んで歩きだした。
先生の言葉に、コクンと頷く。
「そうかあ。確かに初めての経験やし不安やな」
「うん、、、。」
「絶対受かる！なんて、無責任なことはいえやんけど、なんていうか、今日まで面接練習何回もしてたやん？それに、お前なりに明日の為に色々頑張ってきたやろ？なら、明日はただ＊＊学校の先生たちにお前のいいとこと、面接練習の成果を見てもらうだけやん。いつものおまえでいけば、大丈夫や」
そう言って、先生は前と同じように、頭をポンポンと撫でた。

先生にこれをされると、いつも泣きそうになる。
抱きつきたくなる。
ギュッて力一杯抱き締めて、「大好き」っていいたくなる。

でも、絶対言わない。