先生

先生と生徒

「彩花ー!きいてー！」
それは、体育祭を間近に控えたある日の朝のことだった。
彩花が教室に入るなり、大声で駆け寄ってきたのは由香里。
「どうしたん(笑)」
彩花はそんな由香里を見て笑いながら聞いた。
まさか、こんな答えがかえってくるとは思っていなかったから。
「西本先生がな！女の人と二人で歩いてたんやってー☆」

え、

彩花は一瞬にして体が動かなくなってしまった。金縛りにあったみたいに。
そんな彩花に気付かずしゃべり続ける由香里。
「なんか、隣のクラスの田辺が見たらしいんやけど、絶対彼女やんなー☆」

彼女、、、

ヤバイ。なんか返事しやな、変に思われる。
でも、喉がカラカラで声がでない。

たいしたリアクションのない彩花を見て、由香里が不思議そうに彩花の顔を覗き込んだ。
「彩花？」
ヤバイ。喋らな。
なんか、言わな。
「そ、そやなー☆絶対彼女やな(笑)」
やっと出た声はいつもよりしゃがれていた。